こうかの雑記

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昔の懐かしいこと、ubuntuのこと、その他いろいろ

好きな本『レベッカ』

レベッカダフネ・デュ・モーリア

 

 中学生になった頃、姉の書棚で見つけた本が『レベッカ』でした。
 この本を読まなかったら、私が読書を趣味にする時期はもっと遅れていたかも知れません。

 ブックカバーの素敵な女優さん(ジョーン・フォンテイン)の写真に惹かれて本を手に取ってみました。本を開いてみると、何枚かの写真が載っていました。この作品が映画化された時の数カットでした。視覚効果って大きいですね。まだ本を読む習慣の無かったわたしが、興味を持つのには十分なものがありました。
 姉から借りて読み出したのは良かったのですが、始まり部分からいきなり引き込まれてしまいました。

「昨夜、わたしはまたマンダレイへ行った夢を見た。車道につづいている鉄門のかたわらに、わたしは立っていたらしい。しかし道がふさがっているので、しばらくのあいだ、中にはいることができなかった。門には錠がおりていて、鍵がかかっていた。わたしは夢の中で門番を呼んだ。しかし、なんの返事もなかった。錆びついた門のあいだから中をのぞいてみると、番人小屋にはだれの姿も見えなかった。
煙突からは、一条の煙も上らず、小さな格子窓が、しょんぼりと口をあけていた。やがて、だれでも夢の中で経験するように、ふいに、わたしのからだには超人的な力が加わった。わたしはまるで精霊のように、目の前にある障害物を乗り越えた。車道は、いつもと同じに、曲りくねってつづいていたが、だんだん進んで行くにつれて、以前とは変っていることに気がついた。……」 大久保康雄訳版より

 この夢の部分の情景が好きでした。何十年もの時を過ぎてから店頭で見つけたDVDで、初めて映画『レベッカ』を見た時、この部分は私の頭の中のイメージとほとんと同じでした。ただ、この夢の進む速さが、私の思っているよりも速く、余韻が無いのが残念に思いました。

 場面はモンテ・カルロへと移り、ここで主人公「わたし」のが、初心で内気、自信のない生真面目な21才の娘であることが示されます。物語が第一人称で語られていくことから、主人公と一体化しやすかったと思います。マンダレーに移ってからサスペンスの度合が増し、止められなくなってしまうのでした。当然、夜ふかししてしまうことになります。
 内容についてはネタバレにつながるので割愛します。

 映画のWikiにあらすじが載っていますが、映画はいたるところで原作とは違うシチュエーションになっており、サスペンス映画として面白くしています。
 しかし、映画よりも断然、原作の方が素晴らしいと思います。映画を見る前に読んだほうが良いと思います。

レベッカ』の新訳をされた茅野美ど里氏の解説を読むと「二十世紀ゴシックロマンの金字塔と呼ばれており、十九世紀の『ジェーン・エア』に対する二十世紀の『レベッカ』というので、よく比較されている」とあります。
 ゴシックロマンといった方が相応しいように思います。

 偶然か否か姉の書棚に『ジェーン・エア』もあり、引き続き2冊めに読んだのがこれでした。時代背景もストーリは全然違いますが、両者には要素的によく似ています。一人ぼっちの主人公、主人公の一途な思い、大きな屋敷での生活、前妻にまつわる疑惑とその影……。そして少し失うものがあるという終り方まで似ています。

 ついでですが、1943年の映画『ジェーン・エア』の主演もまた、『レベッカ』(1940年)と同じジョーン・フォンテインでした。