こうかの雑記

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真紅のシャクナゲ

 一週間ほど前の新型コロナウイルスのための緊急事態宣言が全国に拡大された頃、私とパートナは自動車で20分程の場所にある花緑公園に行ってきました。
 普段から人数の少ない自然公園です。何が見たいという当てがあったわけはなくただ散策してました。

 丁度、シャクナゲの花が満開で綺麗に咲いていました。ピンク系、白系か圧倒的に多い中で一本だけ目を惹く真紅の花を咲かせている木が有りました。
 真紅の花といえば薔薇を連想するところですがシャクナゲにも、こんなに赤い花があるのですね。スマートフォンのカメラで写真を撮りました。撮影の時点で、その赤い色がスマートフォン画面で忠実に再現されていないので残念に思いながらシャッターを押したのを覚えています。

 その時の写真が次のものです。

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 何故、一週間ほど前のことを記事にしているかと言いますと、実は私の好きな本である『レベッカ』を今読み直していたところなのですが、その文中に真紅のシャクナゲのことが書かれている部分があったからです。その部分を引用してみます。

やがてとつぜん、わたしは前方の暗い車道の向うに、一つの空地と、わずかばかりの青空を見た。すると、たちまち暗い木立ちはうすくなり、名も知れぬやぶは消えうせた。そして、わたしたちの両側は、はるかに頭上にそびえる血のように赤い一面の壁だった。わたしたちは、シャクナゲの中にはいりこんでいたのだ。あまりふいに、それがあらわれたので、わたしは、びっくりしてしまった。いや、むしろ、はっとした。森の中に、こんなものがあらわれようとは、まるで予期していなかったからである。とても信じられないほどたくさんの真紅の花が、幾重にも重なりあっていて、そこには一枚の葉も、一本の小枝も見えなかった。見えるのはただ、それまでわたしが見たどんなシャクナゲとも似ていない、毒々しく、こってりとした、ふしぎな紅色だけだった。

(大久保康雄訳版 第7章から)

 いままで読書で数回、EPUB電子書籍化の為にも数回、読んできましたが、今ほどに花のイメージが結びついたことはありません。「真紅のシャクナゲってこんなのか」と。

 外出自粛ムードの飽き飽きする中で何回目になるかわからない『レベッカ』を読んでいます。さすがにストーリを全て把握しているのでサスペンス度はありませんが、今回のように体験と結びつくとまた面白いですね。
 EPUB化する時にも使われている用語などでアレッと思ったものについては調べましたが、そういう調べながらも勉強になって面白いと思います。若い頃は一気読みで2日程で読んだものですが、さすがに知ってしまっていることと、目が疲れやすくなっていることで数日を要するようになってきました。

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