小説本の電子書籍化
電子書籍版が無いお気に入りの本を電子書籍で読めるようにしておきたいと思いました。古い発行年の書籍だと文字がとても小さくて、これから年齢を重ねると目が心配になりますからね。
そこで、無いものは自分で……という訳で作ることにしました。
電子書籍もそうですが、それを作るためのツールも自作しています。
電子書籍の形態
一口に電子書籍と言っても二つの形態があります。
一つは固定レイアウトで漫画とか雑誌に向いている方法です。これは本をスキャナーでスキャンすれば比較的簡単に作れます。PDFもこの仲間ですね。
でも固定レイアウトなので、拡大するとページの部分しか見えなくなりますので、小説本には不向きです。
もう一つはリフロー型と言って、画面の大きさに従って適切に行の折り返しがされる形のものです。小説などはこちらで作られています。でも作成には手間暇が大変掛かる方法です。
EPUB3という規格
EPUB3という規格は固定レイアウトとリフロー型の両方をカバーした規格です。今回は小説本ということでリフロー型の規格に従うことに成ります。
詳しくは電書協 EPUB 3 制作ガイド | 日本電子書籍出版社協会
を参考にしました。
「電書協 EPUB 3 制作ガイド」にはHTMLとCSSの雛形が示されています。CSSはそのまま利用し、HTMLについてはガイドに示される情報に従い、自動的に生成し、EPUB3ファイルとして圧縮までするプログラムを自作しました。(2018年)
(追記:日本語の縦書き表記はEPUB3からの対応です。)
電子書籍を作る
実際、電子書籍化で何が大変かというと原稿となるテキスト・ファイルを用意することです。これについては別記事にしています。当ブログ内の「紙からテキストを取り出す OCR機能」を参考下さい。
ここで忍耐力が必要になります。
テキスト・ファイルが用意出来ると、自作ソフトを使ってEPUB3形式の電子書籍を作ります。無理すれば手作業でも出来るでしょうけれど、自動化されるべきでしょうね。
申し訳ありませんが自作ソフトは公開できません。自分専用の限定仕様になっていて今も改造中につき恥ずかしくて公開できるような代物ではありません。所詮、趣味の世界ですから。
Android端末にEPUB3対応のリーダーをインストールすれば読めるように成ります。
さらにアマゾンから無料で入手できるKindleGenというツールを使うと、EPUB3形式からmobiという形式に変換することができ、市販のKindle本と同じように読めるようになります。参考:EPUBからKindleに変換(kindlegen)
自作をしようと思い立った『レベッカ』をタブレット端末で読めた時は、とても嬉しかったです。
結局、『レベッカ』は新版、旧版ともに電子書籍化しました。大変な労力を掛けて、私も好きですね。自分でも呆れるくらいです。
EPUB3作成ツールの紹介
自分で電子書籍化したい方のためにツールを紹介します。
ただ、これらのツールは「電書協 EPUB 3 制作ガイド」に準拠した形にはならないと思いますが、問題ないでしょう。
1)でんでんコンバーター
テキストファイルを自分で用意して、このツール独自のマークダウン記法で、見出しやルビ等を指定ます。出来たテキストファイルをアップロードするとEPUBファイルが得られるというオンラインサービスです。
制限事項は10万文字を越える本の作成となると厳しいかも。
くわしくは
を見て下さい。
HTMLを憶えなくても良いのでお薦めだと思います。
2)sigil(EPUB編集ツール)
ワープロソフトのように画面で編集入力できて、EPUBファイル出力まで出来るツールです。
過去EPUB3に完全対応していない頃には編集するとEPUB2とEPUB3が混ざってしまうという困った問題がありましたが、今は解消されているのでしょう。
但し、現時点ではLinux用の公式のSigilバイナリパッケージはありません。
LinuxでSigilを使用する場合は、ソースからビルドできます。 SigilのGithubリポジトリのdocsディレクトリには、そのためのガイドが記載されています。
Windowsであればバイナリで取得できるようです。
参考情報)
初めての電子書籍の作り方と自己出版
http://www7b.biglobe.ne.jp/~imada_motoki/EPUB/EP.html