こうかの雑記

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昔の懐かしいこと、ubuntuのこと、その他いろいろ

ジェニーの肖像

 まだ小学生の頃の私には、学校から帰った時間帯頃にテレビで放映される古い外国映画を見るという楽しみがありました。ほとんどは題名も憶えていませんが、いくつか記憶に残る映画がありました。その一つが『ジェニーの肖像』です。

 ストーリは売れない青年画家と一人の幼い少女ジェニーとの出会いから始まります。それまで風景画ばかり描いていた青年ですが、ジェニーのスケッチを描いたところから運がひらけ始めます。会いたいと思ってもそれは叶わず、いつもジェニーのほうから突然現れます。ただ、主人公の年齢に急いで追いつこうとしているように、会うたびにジェニーは成長していて大人に近づいていきます。
 不思議な二人の出会いと結末。しばらくの間、切ない余韻が残るお話でした。

 現在、Youtubeで『ジェニーの肖像』を検索すると映画の全編を見ることができます。
 映画『ジェニーの肖像』はジェニファー・ジョーンズとジョセフ・コットンが主演の1947年度作品です。
 ただ、わたしが子供の頃にテレビで見た『ジェニーの肖像』とは何か印象が違うような気がしました。男優はジョセフ・コットンではなかったと思いますし、画面の明るさ、画廊のイメージや、ジェニーが子供から大人へと変化していくその様子などが違うように思います。見てから五十年以上もの時間が経っているので記憶違いなどが生じているのかも知れませんが、違うものだったと思っています。
 でも、この作品以降に別の映画が作られたという情報は見つからないのです。ひょっとしたら劇場版映画ではなかたのかも知れないと思っています。しかし、わたしに強烈な印象を残したことは間違いありませんでした。

 Youtubeの映画『ジェニーの肖像』を見て、何かしっくり来なくて、原作を読んでみたくなりました。
 いろんな方のブログに、それぞれの解釈が述べられていますが、私はここで私の解釈を載せようとは思いません。読まれた方、映画を見られた方、それぞれの解釈があって良いかと思います。

 古い本なので図書館で探しました。見つけた本の情報は次の通り。

 

 タイトル:『ジェニーの肖像』 
   原題:Portrait of Jennie (1938)
 著  者:ロバート・ネイサン
 訳  者:大友香奈子
 出 版 社:株式会社創元社 創元推理文庫
 出  版:2005/5/31

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 この本には、『それゆえに愛は戻る』が併録されていますが、こちらも『ジェニーの肖像』同様に不思議な魅力のある作品です。
 愛する妻を亡くし、二人の幼い子供と海辺の家で生活する童話作家の主人公。
 海辺で出会った妻にそっくりの不思議な女性との出逢い。子どもたちはその女性に懐いて家族の様に親密になっていくが…。

 『ジェニーの肖像』と『それゆえに愛は戻る』、それぞれが、時間または死を超えた出会いというセンチメンタルでファンタスティックなお話で、読後の暫くの間、余韻が残ってしまった作品です。

 また読んでみたいと思いましたので、この本も電子書籍化しました。出版権などの問題が生じるかと思いますので公開できないのが残念です。